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「ちゃんとお茶を飲んでいるから大丈夫」
そう思っていても、高齢になると知らないうちに水分が不足していることがあります。
特に暑い季節はもちろん、冬場の暖房が効いた室内でも脱水には注意が必要です。
高齢者は若い人と比べて、のどの渇きを感じにくくなったり、食事量が減ったりすることで、水分不足に気づくのが遅れることがあります。
この記事では、高齢者が脱水になりやすい理由や水分補給の目安、毎日の生活の中で無理なく水分を摂る方法についてご紹介します。

高齢者が脱水になりやすいのには、いくつかの理由があります。
単純に「水を飲む量が少ないから」というだけではありません。
1.体内に蓄えられる水分が少なくなる
人の身体に占める水分の割合は、年齢によって変化します。
一般的に、成人の体内水分量が約60%であるのに対して、高齢者では約50%になるとされています。
つまり、高齢になるほど身体の中に蓄えておける水分そのものが少なくなります。
そのため、食事や飲み物から摂る水分が不足したり、汗を多くかいたりすると、脱水につながりやすくなります。
2.のどの渇きを感じにくくなる
年齢を重ねると、感覚機能の低下によって、のどの渇きを感じにくくなることがあります。
若い頃なら「のどが渇いたから水を飲もう」と自然に行動できても、高齢になると身体の水分が不足していても、本人がそれほど渇きを感じていないことがあります。
そのため、「のどが渇いてから飲む」のではなく、時間を決めてこまめに飲むことが大切です。
3.食事量が減ることで、水分摂取量も減る
私たちは飲み物だけではなく、毎日の食事からも水分を摂っています。
ご飯、みそ汁、煮物、果物など、普段食べている食品にも多くの水分が含まれています。
高齢になって食欲が低下すると、食事量と一緒に水分の摂取量まで減ってしまうことがあります。
「飲み物はいつもと同じ量だから大丈夫」と考えるのではなく、食事量が落ちていないかにも注意してみましょう。
4.トイレを気にして飲む量を減らしてしまう
「夜中にトイレへ行きたくない」
「何度もトイレに行くのが面倒」
「家族や介護職員に迷惑をかけたくない」
こうした理由から、自分で水分を控えてしまう高齢者もいます。
しかし、トイレの回数を減らすために水分摂取そのものを減らしてしまえば、脱水につながる可能性があります。
水分だけを見るのではなく、トイレまで安全に移動できる環境を整えるなど、生活環境とセットで考えることも大切です。
5.薬などの影響を受けることがある
高齢者では、病気の治療のために利尿薬などを使用している場合があります。
また、腎機能の変化などによって身体の水分バランスが変化することもあります。
一方で、心臓や腎臓の病気などによって医師から水分摂取量を制限されている方もいます。
このような場合は、自己判断で水分量を増やさず、必ず医師などの指示に従ってください。

水分補給量の一つの目安として体重1kgあたり約30mLが示されています。
たとえば、
という計算になります。
ただし、これはあくまで一つの目安です。
必要な水分量は、体格や食事内容、活動量、気温、発汗量、病気などによって変わります。
また、食事に含まれる水分もあるため、「全員が毎日必ず飲み物だけで1.5L飲まなければならない」という意味ではありません。
特に心臓病や腎臓病などで水分制限を受けている場合は、医師の指示を優先してください。
高齢者の水分補給で大切なのは、一度に大量の水を飲んでもらうことではありません。
本人が負担に感じない量を、生活の中で何回にも分けて摂る方が続けやすくなります。
たとえば、
起床後 → 朝食 → 10時 → 昼食 → 15時 → 夕食 → 入浴前後
というように、普段の生活行動と水分補給をセットにしてみましょう。
「水を飲んでください」と何度も声をかけるより、「おやつと一緒にお茶を飲みましょう」と習慣に組み込んだ方が、本人にとっても負担になりにくくなります。
水分補給というと「水を飲まなければ」と考えがちですが、水だけに限定する必要はありません。
お茶など本人が好む飲み物を取り入れたり、食事から水分を摂ったりする方法もあります。
たとえば、みそ汁やスープ、ゼリーなども水分を摂る方法の一つです。
温度にも好みがあります。
暑い時期でも温かいお茶を好む方がいれば、冷たい飲み物の方が飲みやすい方もいます。
大切なのは、「何を飲ませるか」だけでなく、「その方なら何なら無理なく続けられるか」を考えることです。
自宅でもできる脱水の簡易チェック
高齢者の脱水は、本人が「のどが渇いた」と感じていなくても起こることがあります。
そこで、普段の様子を観察するとともに、身体に水分不足のサインが出ていないか確認してみましょう。

簡単に確認できる方法の一つが、爪の色の戻りを見る方法です。
指の爪の先を軽く押すと、爪の下の血液が一時的に押し出されて白っぽくなります。
その後、指を離して、爪の色が元の赤みのある状態に戻るまでの時間を確認します。
通常は2秒以内に色が戻ることが一つの目安です。
戻るまでに時間がかかる場合は、身体の水分が不足している可能性も考えられます。
爪のチェックだけで脱水かどうかを判断することはできません。
次のような変化がないか、普段の状態と比べて確認することが大切です。
たとえば、「今日はほとんどお茶を飲んでいない」「尿の量が少ない」「口の中も乾いている」というように、複数の変化が重なっている場合は特に注意が必要です。
こうしたチェックは、あくまで脱水の可能性に気づくための目安です。
ぐったりしている、反応が鈍い、意識がぼんやりしているなど、普段と明らかに様子が違う場合は、簡易チェックだけで判断せず、医療機関への相談や受診を検討してください。
高齢者の水分補給で見落としやすいのが、「水分は摂りたいけれど、うまく飲み込めない」ケースです。
飲み物でむせるようになると、本人自身が「飲むと苦しい」と感じ、水分を避けるようになることがあります。
また、ご家族もむせる姿を見ると心配になり、飲ませる量を減らしてしまうことがあります。
しかし、それでは水分不足につながります。
飲み込みに不安がある場合は、その方の状態に応じて、とろみをつけたり、ゼリー状の食品を活用したりする方法があります。
ただし、必要なとろみの程度や食形態は人によって異なります。
むせが続く場合は、医師や言語聴覚士、管理栄養士などの専門職に相談することをおすすめします。
「水分補給なら経口補水液の方がよいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、経口補水液は一般的な水やお茶、スポーツドリンクとは目的が異なります。
経口補水液は、水分と電解質を速やかに補給できるよう調整された脱水時のための病者用食品です。
一般的なスポーツドリンクよりナトリウムやカリウムなどの電解質が多く含まれているため、脱水状態ではない方が日常の水分補給として飲み続けるものではありません。
特に食事制限を受けている方などは注意が必要です。
普段の水分補給と、脱水時に使用する経口補水液は分けて考えましょう。
高齢者の水分不足を防ぐには、本人の頑張りだけに頼らないことが大切です。
たとえば朝のうちに、その日に飲む量をある程度見える形で用意しておく方法があります。
500mL程度入る保温・保冷できるマグカップに好みのお茶を用意し、別に500mL程度の飲み物を準備しておけば、「今日はどのくらい飲めているか」を本人や家族が確認しやすくなります。
施設でも同じです。
「水分を摂ってください」と声をかけ続けるだけでは、職員にも本人にも負担がかかります。
朝食後、10時、昼食時、15時、夕食時など、毎日の業務の流れに水分提供を組み込んでしまった方が管理しやすくなります。
人間は、分かっているだけではなかなか行動しません。
だからこそ、水分補給も「意識すること」より「自然にできる仕組み」に変えていくことが重要です。
介護食ふるるでは、飲み込みに不安のある方の水分摂取をサポートするため、ゼリー状の「水分補給ふるる」をご用意しています。
通常の水やお茶ではむせやすい方でも、その方の状態に合った食形態を選ぶことで、水分を摂りやすくなる場合があります。
また、介護食ふるるには、舌でつぶせるムース状の介護食もあります。
食事量そのものが減っている方や、噛む・飲み込むことが難しくなってきた方は、水分だけでなく食事全体を見直すことも大切です。

水分補給は毎日のことだからこそ、「結局、何をどのくらい飲めばいいの?」「お茶でもいいの?」など、ちょっとした疑問も多いものです。ここでは、高齢者の水分補給についてよくある疑問にお答えします。
必ずしも、すべての方が1日に2リットルの飲み物を飲む必要はありません。
必要な水分量は、体重や食事量、活動量、気温、発汗量などによって変わります。
この記事では、一つの目安として「体重1kgあたり約30mL」を紹介しています。たとえば体重50kgなら、1日約1,500mLが目安です。
さらに、私たちは飲み物だけでなく、食事に含まれる水分も摂っています。
「とにかく2リットル」と考えるより、その方の体格や食事、体調に合わせて考えることが大切です。
※心臓や腎臓の病気などで水分制限を受けている方は、医師の指示を優先してください。
普段の水分補給であれば、水やお茶などを基本に考えてよいでしょう。
スポーツドリンクには糖分や塩分が含まれているものが多く、経口補水液は脱水時などに水分と電解質を補給することを目的として作られています。
そのため、「体によさそうだから」と日常的に経口補水液を飲み続ければよい、というものではありません。
普段の水分補給と、汗を多くかいたときや脱水が疑われるときの水分補給は、分けて考えることが大切です。
「必ず常温でなければならない」というわけではありません。
冷たい水の方が飲みやすい方もいれば、常温や温かいお茶を好む方もいます。
大切なのは、温度そのものよりも、その方が無理なく飲めることです。
「常温の水は飲んでくれないけれど、冷たいお茶なら飲んでくれる」という場合は、飲みやすい方を選ぶのも一つの方法です。
コーヒーやお茶も水分補給の一つとして考えることができます。
「カフェインには利尿作用があるから、飲んだ分が全部出てしまう」と思われることもありますが、コーヒーやお茶に含まれる水分がすべて無駄になるわけではありません。
ただし、カフェインの摂りすぎや、砂糖をたくさん入れた飲み物ばかりになるのは避けたいところです。
水や麦茶なども組み合わせながら、その方が飲みやすいものを取り入れていきましょう。
高齢になると、若い頃よりものどの渇きを感じにくくなることがあります。
そのため、「のどが渇いたら飲む」だけでは、必要な水分を十分に摂れない場合があります。
起床後、食事、10時や15時のおやつ、入浴前後など、生活の中で水分を摂るタイミングをある程度決めておくと続けやすくなります。
「飲みたいかどうか」だけに頼らず、こまめな水分補給を意識しましょう。]
水やお茶などの液体でむせやすい方では、とろみをつけたり、ゼリー状にしたりすることで飲み込みやすくなる場合があります。
ただし、「むせるなら、とりあえずゼリーにすれば大丈夫」というわけではありません。
飲み込む力や適した硬さ・形状には個人差があるため、むせが続く場合は、医師や言語聴覚士、管理栄養士などの専門職に相談することが大切です。
水分補給ふるるも、飲み込みに配慮してゼリー状に仕上げています。水やお茶だけでは十分な水分を摂りにくいときの選択肢の一つとしてご活用いただけます。
高齢者は、身体に蓄えられる水分が少なくなることや、のどの渇きを感じにくくなること、食事量の低下など、さまざまな理由から脱水になりやすくなります。
だからこそ、「本人が飲みたくなったら飲む」だけではなく、周囲の人が水分を摂りやすい環境をつくることが大切です。
水やお茶だけにこだわる必要もありません。
食事や汁物、ゼリー状の食品なども活用しながら、その方が安全に、無理なく続けられる方法を探してみてください。
そして、飲み物でむせる、食事量が急に減った、元気がないなどの変化が見られたときは、「年齢のせい」と決めつけず、身体からのサインとして確認してみることが大切です。
毎日のちょっとした水分補給の積み重ねが、高齢者の健康を守ることにつながります。